コモンズ館という名の「出会いの余白」ーEXPO2025

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はじまりは、なんとなく足を向けただけやった

あてもなく歩いてたら、白くて四角い建物が見えてきた。
「COMMONS」とだけ書かれた看板。派手さはない。呼び込みもない。
けど、なんやろな。
そこに足を向ける人たちの背中を見て、ふと、入ってみたくなった。

その日は、小雨やった。


知らん国、知らん音、知らん香り

最初に目に入ったんは、ジンバブエの楽器やった。
「ムビラ」っていうんやって。金属の板を指で弾くと、
やさしい音が、胸の奥にまで届いてきた。

隣では、グレナダのスパイスが小瓶に詰められて並んでて、
思わず嗅いでみたら、
一瞬で空気が異国になった。

クロアチアの展示では、温度が変わる通路。
涼しい→ぬくもり→熱気──
身体がひとつの国の“季節”を歩いていくような、不思議な仕掛けやった。


これはただの展示やない、「人の声」や

ブルキナファソの手書きの展示文には、
誰かの丁寧な言葉がにじんでた。
ウクライナのパビリオンには、
張りつめた祈りのような空気が流れていた。

展示っていうより、誰かの想いがそこに立ってたんや。

「遠い国」やと思ってた。
でも違った。「知らんだけ」やったんや。

衣装を着て写真を撮るだけでも、
その土地の空気が、自分の輪郭にそっと重なっていく感じがした。


偶然の出会いが、次の扉を開ける

あのとき、自分は目的があったわけやない
予約もなかったし、並ぶ覚悟もしてへんかった。
ただ、なんとなく足を向けただけや。

でも、
その「なんとなく」が、心を揺らす体験をくれた


ふとした回り道で、
誰かの文化や願いに出会う。

あれが、ほんまの万博の入口やったんやと思う。

世界はニュースや地図で知るもんやなくて、
こうして“すれ違い”のような瞬間に、
ふいに触れるもんなんや。


……それでええ。今はそれで、ええんや。

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この記事を書いた人

銀行員、テレビのAD、スポーツ用品の並行輸入など、さまざまな職を経験してきましたが、1995年11月からWeb業界に転身し、今ではWeb制作を中心に活動しています。

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